ギャンブル依存症 脳

当院はアルコール依存症、ギャンブル依存症、薬物依存症、性嗜好障害・強迫的性行動症(性依存)、買い物依存症、ネット依存、窃盗癖(クレプトマニア)、ストーカー、DVといった依存症を扱う専門医療機関です。外来通院での治療ですが、入院が必要な場合には専門病院と充分な連携があります。依存症を専門に扱う医療機関は数少ないのが現状ですが、当院では治療レベルを上げることで、患者さまの病態にあわせた高度で良質な治療パッケージを提供するよう心掛けています。

まずは対応を相談するためにご家族が受診してください。ギャンブル依存症は家族とのコミュニケーション次第で問題行動は悪化も改善もします。本人との関係性が改善すれば治療に繋げる機会も増えるので今すぐご相談してください。

今回の研究を通して、ギャンブル依存症では状況を理解し柔軟にリスクに対する態度を切り替える能力に障害があることが分かりました。依存症の神経基盤を明らかにしたことで、多様なギャンブル依存症の病態の理解、新たな治療法開発につながるものと期待されます。

今後、ギャンブル依存症における柔軟なリスク態度の切り替えの障害を改善させるために、脳に直接、介入するニューロモデュレーション[4]の開発を目指します。また、柔軟に戦略や視点を切り替える障害は他の精神疾患でも障害が認められるため、柔軟性の向上を目指す方法の開発を目指します。

ギャンブル依存症[1]は金銭的な問題を抱えてもギャンブルをやめられずに続けてしまう状態のことをいいます。ギャンブルについての制御が困難になるため、患者本人だけでなく家族や周囲の人間にも影響が大きい障害といえます。これまでの研究や臨床では、ギャンブル依存症の患者は常に過剰にリスクを好み、性格のように一定の傾向が見られるという考え方が主流でした。しかし、人は状況に応じてどの程度リスクを許容するかという判断を柔軟に切り替えて生活していることは明らかです。患者もまた多様にリスクへの態度を切り替えていると考えられるため、過去のモデルによる依存症の理解や治療には限界がありました。高橋 英彦 京都大学大学院医学研究科教授らの研究グループは状況に応じて最適なリスクの取り方を切り替える必要のあるギャンブル課題を考案し、患者のリスクへの態度に特徴がみられるかどうかを検討しました。実験の結果、患者は許容できるリスクの大きさを柔軟に切り替えることに障害があり、リスクを取る必要のない条件でも、不必要なリスクをとること確認しました。また、fMRIで患者の脳の活動状態を調べたところ、患者は脳の前頭葉の一部である背外側前頭前野[2]と内側前頭前野[3]の結合が弱いことも明らかにしました。

今回の研究により、ギャンブル依存症の病態の理解が深まり、また、リスク態度の柔軟な切り替えの障害を改善させる介入法の開発が期待されます。

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