ギャンブル依存症 病院
ギャンブル依存に特徴的な症状として挙げられるのは、借金と嘘です。
ギャンブルをするために生活費をつぎこんで行うが、底をついてしまうとサラ金などに借金をして雪だるま式に増えていきます。また家族に対して嘘をつくようになります。そして、その借金を返すために何としてもギャンブルで取り戻さなければという考えに支配され、さらにのめり込んでしまうという悪循環に陥ります。とうとう自分ではどうすることもできなくなったり、怪しい行動に家族の者が気づいたりすることで、借金の存在が明るみに出ます。アルコール依存で起こる家庭問題と同様に、家庭での役割は失われ、ケンカが絶えず、子どもへの悪影響も見られます。
これまで国内外で様々な治療法が試みられていますが、ギャンブル依存の治療には、行動療法や認知行動療法が有効とされています。行動療法は、問題となる行動に体系的に暴露させ、ギャンブル衝動を抑える技術を学ぶ治療法です。認知行動療法は、不健康で、不合理で、後ろ向きの考えを明確にし、それを健康的、合理的、前向きな考えに置き換えることに焦点を当てている治療法です。
依存症としての病理の本質は、アルコール依存症やその他の依存症と変わりません。すなわち、ギャンブルをやり出したらお金がなくなるか、店が閉まるまで止まらない(コントロール喪失:loss of control)、ギャンブルをやりたくて、やりたくなるとどうにもならず抑えられない気持ち(渇望:craving)が見られます。このコントロール喪失、渇望はどの依存症でも中核的な症状と言えます。
当センターでの診療は、精神科医師、看護師、臨床心理士、精神保健福祉士、作業療法士が連携して行います。「問診」、「精神科医師による診察」、「臨床心理士による心理検査」、「身体検査」などを通じて、ギャンブル依存の診断や合併症の有無の確認を行い、治療を開始します。
2011年7月のネット依存治療研究部門 (TIAR) を開設に続き、当センターでは、2013年6月よりギャンブル依存(正式にはギャンブル障害)治療研究部門を開設し治療を開始いたしました。"ギャンブルの問題を持つ"ことは、長年にわたり個人の道徳的観念の欠如や意思の弱さが原因であるとされてきましたが、近年では、医学上の問題としての側面があることが知られてきています。すでに国内外では、医学的治療や福祉的支援がギャンブルの問題に効果的であることが多数報告されています。ギャンブルにより生じたトラブルの背景に、医学的にどのような問題があるのかを理解することは、トラブルの解決の手助けとなります。当センターでは、ギャンブル依存治療を行うとともに、個々のケースに応じて地域の関連機関等と連携をとり、必要な支援 をご提案させていただくこともあります。ギャンブル依存に関する研究と最新の治療情報収集にも取り組み、よりよい治療を提供いたします。
うつ病や強迫性障害、ADHD等の精神疾患に対しては、症状に応じて抗うつ薬や気分安定薬などの薬物療法を行います。また、GA / ギャンブラーズアノニマスのような、ギャンブル問題を抱えている当事者と話し合う自助グループが有効な場合もあります。家族に対する家族療法も有効といわれています。