ギャンブル依存症は治るのか
ギャンブルに費やされる金額や時間のコントロールが困難になり、その結果本人や周りの人に対して有害となっている状態です。ギャンブルでの負けを取り戻そうとする「深追い」や、借金の問題、そして嘘もしばしばみられるようになります。他の大切なことよりもギャンブルを優先してしまうために、人間関係や仕事などに支障を来たすこともあります。
妻にはギャンブル依存症についての理解を深めさせるために、セミナーへの出席や書籍の購入を勧めました。さらにギャマノン(ギャンブル依存症の家族会)への参加を求めました。本人への対応法としては、借金の返済などの尻拭いを止めて、本人に現実を直視させることが重要であるとアドバイスしました。
ギャンブル依存症は、アルコール依存症や薬物依存症のように病院へ入院して治療することがあります。ただギャンブル依存症は心の病気なので、退院してからの治療が大切です。 ギャンブル依存症の治療は、薬物治療・カウンセリング・自助グループへの定期参加の3つが中心になります。
「SWITCH」では、ギャンブルがなかなかやめられない原因を、脳からみた場合、行動面からみた場合、感情面からみた場合、思考面からみた場合など、様々な側面から検証していきます。そして、それらを明らかにしながら、具体的な対策を立てていきます。
これは、「アルコール依存症」に特有の問題ではありません。覚せい剤や大麻などの薬物の摂取をやめたくてもやめられなくなる「薬物依存症」、パチンコや競馬などをやめたくてもやめられなくなる「ギャンブル等依存症」も同様の問題に至ることがあります。
ギャンブルをなかなか止められない、しばらく止めていても久しぶりにすると止められなくなる。これには、脳内のいわゆる報酬系などの機能異常が原因と考えられています。脳内には、「脳内報酬系」と呼ばれる部位があります。我々が感じる、気持ちよさ、ワクワク感、多幸感などは、この部位が働いて生まれます。ギャンブルも、やり始めの頃に大儲けした時など、この部位が強く反応して、ドーパミンという快楽物質が大量に作られ、放出されます。
ギャンブル依存とは、その人の人生に大きな損害が生じるにも関わらず、ギャンブルを続けたいという衝動が抑えられない病態をいいます。勝ちを追い求めて、最後には掛け金をたいてい失ってしまいますが、そのような行為を人に隠したり、貯金を使い果たしてしまったりします。借金が膨らんで、盗みや詐欺行為に手を染めてしまうこともあります。そして、最終的には生活が破綻して、深刻な事態に至ります。
センターでは、こころの健康についての相談、精神科医療についての相談、社会復帰についての相談、アルコール・薬物・ギャンブル依存症の家族の相談、ひきこもりなど思春期・青年期問題の相談、認知症高齢者相談など精神保健福祉全般にわたる相談を電話や面接により行っています。センターの規模によって異なりますが、医師、看護師、保健師、精神保健福祉士、臨床心理技術者、作業療法士などの専門職が配置されています。
一方、依存状態になると、自分がしているギャンブルを連想させる何か (例えば、パチンコの台) を見たり、聞いたりすると、その時だけ脳の一部が強く反応し、「ギャンブルをしたい」という強い欲求に襲われます。この欲求を満たすためにギャンブルをしても、ドーパミンが放出されないために、この欲求は充分に満たされません。その結果、益々ギャンブルがエスカレートしていくわけです。
OCAT-G(オキャットG)とは?岡山市ギャンブル障害回復トレーニングプログラム(Okayama City Addiction recovery Training program for Gambling disorder)の略です。このプログラムは、ギャンブルに頼らない生活を取り戻すことを目指したプログラムです。主に、「自分のギャンブル問題の整理」「ギャンブル障がいの理解」「ギャンブルの再開防止に向けた具体的対処と今後への備え」について、ワークブックを用いて学びます。
また、継続的に特定の物質を使用していると、その物質が身体にあることが普通になり、その物質が身体から抜けてきたり、摂取をやめたり、減らしたりすると、不快な離脱症状が起こります。これはギャンブル等に依存している場合でも、イライラや落ち着きのなさ、気分の落ち込みなど一部の離脱症状が起こると言われています。このように、辛い症状を緩和するために、アルコールや薬物、ギャンブルなどに再び手を出すことが多く、本人が「やめたい」、「減らしたい」と思っていても、自分の力だけで変えることが難しくなってしまうのです。
まずは対応を相談するためにご家族が受診してください。ギャンブル依存症は家族とのコミュニケーション次第で問題行動は悪化も改善もします。本人との関係性が改善すれば治療に繋げる機会も増えるので今すぐご相談してください。
当院はアルコール依存症、ギャンブル依存症、薬物依存症、性嗜好障害・強迫的性行動症(性依存)、買い物依存症、ネット依存、窃盗癖(クレプトマニア)、ストーカー、DVといった依存症を扱う専門医療機関です。外来通院での治療ですが、入院が必要な場合には専門病院と充分な連携があります。依存症を専門に扱う医療機関は数少ないのが現状ですが、当院では治療レベルを上げることで、患者さまの病態にあわせた高度で良質な治療パッケージを提供するよう心掛けています。
薬による治療を行ないますが、ギャンブル依存症は薬で治るわけではありません。患者の状態を見ながら、症状を緩和させるため適切な薬が投与されるだけです。 例えば、ギャンブルのことを考えて眠れなくなる場合には睡眠薬が投与され、うつ状態であれば安定剤や抗不安剤などが投与されるのです。
ギャンブル依存症に苦しまれる方の中には、うつ病や不安障害、発達障害などの精神障害を同時にお持ちの方がたくさんいらっしゃいます。精神科医による診療ではギャンブル問題を少しでも小さくするためのアドバイスに加えて、これらのような精神障害に対する治療も同時に行います。