ギャンブル依存症の多くの人が もう参加しなくてよい理由を探します

アルコール・薬物依存症では、渇望を抑制する薬物が開発途上にありますが、ギャンブル依存症では薬物の効果は確立していません。仮に薬物で渇望が抑えられるようになっても、ギャンブルのために虚言や偽装を繰り返してきたこと、ギャンブル最優先の自己中心的思考で家族の役割を放棄してきたこと、借金を肩代わりさせてきたこと、離婚や別居に至ったことなどの問題や、その反作用的な罪悪感、自責、自殺願望などの心理的問題は薬で解決しません。心理療法・精神療法で問題に向き合う必要があります。具体的には、アルコール依存症や薬物依存症で有効な集団(精神)療法、認知行動療法、内観療法などがギャンブル依存症にも効果があります。

回復のための大事な点を箇条書きにしてみます。
1) 依存症を診療する医療機関か、精神保健福祉センターに相談に行く
まず恐れずに、専門家のアセスメントを受けてみましょう。ギャンブル依存症だから薬を飲むとか、直ちに入院するとかいうものではありません。問題の本質は何かを、専門家の力を借りて明らかにし、十分な説明を受けてください。
2) 全てを正直に明らかにする
この時点で全てをオープンにすること、特に債務は些細な額も正直に明らかにすることが再生の鍵です。借金の一切合切を明らかにし、司法書士や弁護士を活用して対策を進めると楽になるはずです。
3) 半信半疑でよいから回復プログラム(治療プログラムやGAミーティング)に参加してみる
問題なのは「ギャンブル依存症」なのですが、自分がそうとは中々受け容れられないものです。ギャンブルが病気?などと思うでしょう。半信半疑で良いから回復プログラムに参加して何が得られるのかを体験してください。特に、他の経験者や回復者が参加する集団のプログラムがお薦めです。
4) 1年ほどはギャンブルをやらないことにこだわり、プログラム参加をとにかく続ける
実際に参加すると精神的、身体的な調子も良くなり、「自分は軽い」「もう自分の力で治せる」などと考えて、プログラムや自助グループに行きたくなくなります。ギャンブル依存症の多くの人が、もう参加しなくてよい理由を探します。そこで早期にプログラムから離れた人は、問題が再燃しやすくなります。まずは、1年位を目標に参加を続けましょう。
5) 自助グループを活用する
3年後くらいに「治った」と考え、ギャンブルをしてしまうこと(「スリップ」と呼ぶ)があります。放置すると、すぐに再燃します。これを防ぐには、自助グループに参加し、自分のこころのうちを吐き出す習慣をもち、仲間と問題を分かち合うのが一番です。GAの仲間の体験が役に立ち、不要なスリップも避けることができます。
終わりに)
依存症はいつ爆発するか分からない休火山にも似ています。自然界の火山の爆発を防ぐのは困難ですが、自助グループに無理なく長期に参加することで“依存症火山”の爆発を予防し続けている人は世界中にたくさんいます。

この自助活動の例会参加を長期に続けると、安定し、回復につながります。実は、ギャンブル依存症を治療する医療機関は数少ないので、自助グループGAの活用が重要です。ギャンブルから離れ、生き方を変えながら健康に生きていくには、同じ問題を持つ仲間と定期的にグループミーティングを持ち、自分を内省する機会を長期に持ち続けることが最も大切なのです。

ギャンブル依存症である夫と共依存だった自分を振り返り、田中さんはこう話してくれました。

ギャンブルは、何かの結果を予想して金銭を賭ける行為で、国や文化、世代により好まれる種目は多様です。わが国のギャンブル依存症には、パチンコ、スロットのゲームマシンが極めて多く、続いて競馬、マージャンで、ポーカーなどのカードゲームやバカラなどは少数です。

ギャンブル依存症を克服したい場合、病院に通うのも一つの方法です。

しかし、こうして自助グループに通ううちに、田中さんは自分の生い立ちを振り返り、ギャンブル依存症の家庭で、金銭的な苦労を余儀なくさせられてきたこと、自分の夢や希望が叶えられる環境になかったことなど、過去の出来事が受け止めきれなくなりました。それが恨みとして噴出してしまい、母親に対しての怒りが収まらなくなってしまった時期があったそうです。

私たちの一番の仕事は秘密を守ること、秘密厳守を徹底いたします。ギャンブル依存症のお悩みに寄り添い、サポートさせていただきます。私たちにどういったサポートができるのかという部分に関しまして、ご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

公式病名は、世界保健機関(WHO)では「病的賭博」、米国での最新の診断基準の病名は「ギャンブル障害」です。また、アルコール・薬物依存症との同質性が分かり易いので「ギャンブル依存症」の病名も社会でよく使われます。

上記のどれかに当てはまると感じた方は、ギャンブル依存症の可能性があります。

また、他の家族の対応が参考になりますので、ギャンブル依存症の家族の集いである「ギャマノン」に参加してみましょう。この家族自身の自助グループであるギャマノンの例会場は全国に130ほどあり、インターネットで検索できます。

依存症におけるもう一つの問題は、依存を「意志の問題」として捉えることです。このため、症状が深刻な状況にあっても、意志を強くもてば依存症は克服できると考え、症状を悪化させてしまうことがあります。
実際には、依存症には脳の働きが大きく関係しています。ギャンブル依存症の場合も、行動をつかさどる神経伝達物質のうち、ギャンブル行動を行なわせるドーパミンや、続けさせるノルアドレナリンが過剰に脳内で分泌され、行動を抑制するセロトニンの低下が明らかになっています。また、脳内には、エンドルフィンという興奮状態を高める物質とコルチゾールという興奮を鎮める物質が分泌されます。ギャンブルを行なうとこれらの物質が過剰に働きあい、ある種の薬物中毒に陥った状態になります。
ギャンブルによって起こる、こうした脳の働きを、意志の力でコントロールすることは非常に困難です。こうした脳の働きは、そのときの行動の記憶とともに強く心理に残り、再びギャンブルへと人を向かわせます。

ギャンブル依存症になってしまった結果、自分ではなく、家族に迷惑をかけてしまい、家族が鬱病などを引き起こしてしまうこともあります。ギャンブル依存症は、自分だけが不幸になるのではなく、周りの人も不幸にしてしまいます。

ギャンブル依存症の治療には、心理療法が有効とされています。とくに、患者と医師によるカウンセリングだけでなく、同じ悩みをもつ患者とともに行なう集団精神療法が効果的です。ギャンブル依存症は、回復した後に再びギャンブルを行なうと再発してしまうという特徴があります。集団精神療法により、他者の話を聞いて連帯感を共有し、自分自身のことを話すことは、こうしたことを防ぐのにも大きな力を発揮します。
ギャンブル依存症は、破滅的な結果を患者やその家族にもたらしかねない病気です。しかし、けっして治らない病気ではありません。まずは、先述した「ギャンブル依存症の診断基準」を参考に、5項目以上当てはまる場合は、心療内科・精神科を受診して、さらに正確な診断を受けるようにしましょう。

とてもつらい経験をされてきたのだと思いますが、それでも諦めず自分と向き合ってギャンブル依存症から回復した田中さんは、自分らしい生き方を見つけて生き生きと輝いています。

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