ギャンブル依存症に陥ると 生活の中心がギャンブルになります
平成29年度の全国調査によると、国内の「ギャンブル等依存が疑われる者」の割合は、成人の0.8%(約70万人)とされています。また、一生のうちに一度はギャンブル依存症を経験する人の割合は、成人の3.6%(約320万人)と推計されています。ギャンブル依存症は、誰もが関わる可能性があり、適切な治療と支援によって十分回復が可能な病気です。
ギャンブルをやめたくてもやめられないのは、意志の弱さのせいではなく、「依存症」という病気です。もしご自身がギャンブル依存症ではないかと感じたら、まず専門の医療機関を受診するなど、関係機関に相談してみましょう。
ギャンブル依存症の診断は、SOGSテストと呼ばれる自己診断が可能です。
こちらはアメリカのサウスオークス財団が作成したものでオンライン環境があれば気軽にチェックできるものです。
まずはこちらでチェックしてみるのも良いでしょう。
IR関連法による「カジノ解禁」で、にわかにギャンブル依存症が注目されるようになりましたが、カジノがなくても日本は世界一の「ギャンブル大国」です。その原因は、パチンコ・パチスロです。パチンコ・パチスロは、国際的には「ギャンブル用電子的ゲーム機械(EGM)」に分類されます。EGMは、強烈な画像と音響が勝ったときの高揚感を強化するので「もっとも依存症誘発的なギャンブル」に分類され、海外では「カジノ」など限定的な場所でしか認められていません。全国どこへ行ってもEGMが気軽にできる日本は、悪い意味で世界から注目を浴びています。実際に、日本のギャンブル依存症の80~90%はパチンコ・パチスロ依存症で、法律、行政の側からの対処も求められているところです。
ギャンブル依存症に陥ると、生活の中心がギャンブルになります。
次はどのギャンブルにするのか、勝ったら何をするのか、どのお店で行うのかイベントはいつなのか等、頭の中がギャンブルに染められます。
もはや息抜き・趣味の域を越え、生活の中心がギャンブルに据えられてしまいます。
例えば、人と会っている時も、「終わってからギャンブルを楽しもうか」「本当なら今頃イベンドなのに」など、ギャンブルを主体で考えてしまいます。また、ギャンブルを正当化します。
例えば、ギャンブルで借金を作ってしまったとしても、いずれ取り返すから問題ないとかデータ収集のための費用になったから損をした訳ではないなど第三者が見れば明らかに常識を逸している行為ではあっても患者自身の中では決しておかしな行為ではなくなってしまうのです。また、重度のギャンブル依存症患者の場合、ギャンブルを悪いことだとは自覚しており辞めた方が良いとは分かっていてもなかなか辞められません。
理屈では良いことではない、辞めた方が良いと自覚しつつも気付けばギャンブルで遊んでいるのです。
決して借金だけが問題なのではなく、時間を無駄にしている点に自己嫌悪しつつ結局は気付けばギャンブルを行っている。
まさに、ギャンブルに依存してしまうのです。
ギャンブル依存症に有効な薬物は、まだありません。考え方のクセを見直し、柔軟で合理的な考え方を身につけ、行動を変える「認知行動療法」が有効とされています。ギャンブルで得たものと、失ったものを整理し、今後の目標を自分で決めたり、「ギャンブルをしたくなった際の対処法」を考えていきます。
ギャンブルの治療は認知行動療法とギャンブル依存症たちで構成されている
自助グループへの参加等が挙げられます。
認知行動療法では、ギャンブルに対する認識を変えます。
ギャンブル依存症の患者は、ギャンブルに対してどこか偏った付き合い方をしています。
最終的には勝てると思い込んでいたりギャンブルで作った借金はギャンブルで返せると信じていたりという具合です。
このような偏った考え方を矯正するのが認知行動療法です。
また、金銭管理等、日常生活の見直しも重要です。
特に借金を作っているギャンブル依存症患者様には、借金に対する偏見も矯正します。
また、薬物は身体が受けつける量に限界があるので、そこにつぎ込むお金にも限度があります。しかしギャンブルはしようと思えば無限にできるので、つぎ込むお金に限度がありません。このため、経済的破綻や借金問題は、ギャンブル依存症に付きまとう、深刻な二次災害になっています。
失業や離婚、虐待、自殺などの社会的問題を引き起こすこともあるギャンブル依存症。やめたいと思っても自分の意志ではなかなかやめられないギャンブル依存症について、その診断基準や治療法、身近な人が依存症だと感じた時の対応方法などを解説します。
上記のどれかに当てはまると感じた方は、ギャンブル依存症の可能性があります。
ギャンブル依存症は、薬物という異物が体内に入らないので、病気として受け止められない傾向があります。しかしギャンブル依存症も、ドーパミンという物質を媒介にして脳に障害を引き起こす脳疾患であり、覚せい剤依存症などと同様に深刻な病気です。
いわゆるギャンブル依存症は、1970年代後半にWHOにおいて「病的賭博」という名称で正式に病気として認められました。その後の研究によってこの病気への理解が進み、ギャンブルがやめられないメカニズムはアルコール依存症や薬物依存症と似ている点が多いことがわかってきました。このため、アルコール依存症等と同じ疾病分類(物質使用障害および行動嗜癖)に「ギャンブル障害」として位置づけられ、依存症として認められるようになりました。